協和自動車株式会社 様

現場のひらめきと生成AIが動かしたDX──協和自動車の“電話・FAX”業務効率化ストーリー

事業内容

自動車整備・自動車販売 / 外車・国産車部品卸売 / オートリース / レンタカー / 損害保険・生命保険代理店 等

会社概要

本社  東京都中央区東日本橋
資本金 9,800万円
売上高 50.6億円(2024年12月)

—— 本記事では、協和自動車株式会社(以下、協和自動車)様が MONO-X One を活用して業務効率化を実現した事例をご紹介します。従来の業務課題をどのように解決したのか、導入の経緯や成果についてまとめています。

 

“現場目線”で進めたDX──協和自動車の選択

協和自動車は、輸入車を中心に自動車部品の販売を行い、整備工場や部品商社と取引をする専門商社です。カーライフ全般をトータルサポートする企業として、部品供給だけでなく、取引先の業務効率化にも寄与することを目指しています。今回のDX推進を担当したのは、パーツ部 東京本部の赤岩剛至氏(以下、赤岩氏)。営業所長として部品の受発注、在庫管理、取引先との調整などを担当しながら、現場視点での課題解決に取り組みました。

赤岩氏は「自分はSEやシステム管理者ではなく、現場営業に近い立場です。その視点から、いかに実務で使いやすいシステムを構築できるかを考え、MONO-X Oneの導入を進めました」と語ります。

 

業界全体のDXと協和自動車の課題

大手メーカーでは、部品の受発注がオンラインで行われるのが当たり前になりつつあります。しかし、その先にいる部品商社や整備工場とのやりとりでは、今もなお電話やFAXが主な手段として使われているのが実情です。協和自動車も例外ではなく、お客様からの在庫照会は電話やFAXで受け、それをもとに営業スタッフが自社のシステムで在庫状況を確認し、折り返しの連絡を入れる——そんなアナログな対応が日常業務となっていました。

取り扱う輸入車部品は約1万点にのぼり、在庫数や品番の管理は煩雑になりがちです。特に、自動車補修部品の販売においては、車体番号などの詳細な車両情報をもとに、正確な部品番号を特定する必要があり、その作業には多くの手間と時間がかかっていました。とはいえ、当時はこうしたやり方でもなんとか業務が回っていたこともあり、「そのうち見直さないと」と思いながらも、抜本的な改善にはなかなか踏み出せない状態が続いていました。

しかし、ここ数年で状況は一変。BtoB取引のオンライン化が一気に進み、同業他社でもECサイトを通じた受発注が次々と立ち上がるように。「このままでは、競合に遅れを取ってしまうかもしれない」——そんな危機感をより強く感じるようになっていました。

一方で、実際にオンライン化を進めるとなると、IT人材の不足開発コストの高さといった課題も依然として大きく、現実的な手段がなかなか見つからない、というもどかしさを抱えていました。

 

MONO-X Oneを選んだ理由

DXの必要性を感じながらも、なかなか一歩を踏み出せずにいた協和自動車にとって、MONO-Xとの“再会”はひとつの転機となりました。過去にハードウェアのリプレイスを通じて接点があった同社から、MONO-X One正式リリースのタイミングで製品紹介を受けたことがきっかけです。

紹介を受けた当初は半信半疑だったものの、実際に製品の特長を知るうちに、「これなら、自分たちでも取り組めるかもしれない」という手応えが芽生えていきました。機能や仕組みを詳しく見ていく中で、「これはまさに現場で感じていた課題や不安にフィットするものだ」と実感したといいます。

そうして改めて製品の詳細を確認していく中で、導入の決め手となるポイントがいくつも見えてきました。

初期費用なし・月額定額の料金体系

まず目を引いたのが、初期費用がかからないという点でした。システム導入には高額なコストがつきもの、というイメージがあった中で、自社内でWeb画面を作成すればそのまま月額定額で運用できるという仕組みは非常に魅力的でした。これなら外部に開発を依頼することなく、自社のペースでスモールスタートを切ることができます。実際、短期間での導入が可能になったのも、この柔軟な料金体系のおかげです。

ノーコードで現場主導のカスタマイズが可能

導入後の運用においても、現場で柔軟にカスタマイズできる操作性が大きな後押しとなりました。プログラミングの知識がなくても、画面のレイアウトや必要な機能を自分たちで調整できるため、「現場が本当に使いやすいシステム」を自ら作り上げることができます。

属人化しやすい開発作業を避けつつ、業務に即した形で改善を重ねていける点は、現場をよく知る赤岩氏にとって非常に重要なポイントでした。

IBM i とのスムーズな連携

さらに、基幹業務にIBM i (AS/400)を活用している同社にとっては、既存システムとの親和性も重要な判断材料でした。MONO-X OneはこのIBM i と直接連携でき、在庫や価格データをリアルタイムでWebに反映できます。これまでの業務フローを大きく変えることなく、新たな仕組みを導入できる柔軟さは、大きな安心材料となりました。

セキュリティとシステム安定性も向上

クラウド経由でのデータ連携により、セキュリティ面でも安心して運用できる環境が整いました。情報共有がスムーズになるだけでなく、システム全体の安定性向上にもつながり、日々の業務を支えるインフラとしての信頼感も高まりました。

現場主導で導入・運用が可能

そしてなにより、現場主導で導入・運用を進められたことが、今回のプロジェクトの中でも大きなポイントだったと感じています。協和自動車の電算室(システム部門)は少数精鋭で、日常業務に追われており、新しいDXの取り組みまで手が回らないのが実情でした。MONO-X Oneはパーツ部門が中心となって立ち上げを進めることができ、システム部門の対応はデータベースの提供にとどまりました。

このように、MONO-X Oneは費用面や操作性、既存システムとの親和性など、現場で感じていた課題としっかり噛み合うポイントがいくつもありました。導入のしやすさと柔軟性を実感する中で、「現場でもここまでできるんだ」という確信が、社内に少しずつ広がっていったのです。こうして導入が決まった後、現場では実際にBtoB ECサイトの構築が進められていきました。

 

導入プロセスと活用の工夫

BtoB ECサイトの構築にあたって、協和自動車ではまず、在庫照会サイトの作成からプロジェクトをスタートしました。「まずは使ってもらうこと」を重視し、実際の取引先に試用してもらいながら、改善点をひとつずつ洗い出すという、現場起点の進め方を徹底しました。

  • ステップ1:在庫照会サイト作成
    取引先がWeb上で在庫情報をスムーズに確認できるよう、必要最低限の機能を備えた照会画面をMONO-X One上に構築。まずはシンプルに、見やすさと使いやすさを優先した画面設計を実施
  • ステップ2:取引先への説明とトライアル運用
    作成した画面を実際の取引先に共有。導入の背景やメリットを説明したうえで、テスト運用を開始。現場からの「こうしてほしい」「ここが見づらい」といった声を拾い上げることで、使いやすいサイトづくりを目指す
  • ステップ3:フィードバックの反映とカスタマイズ対応
    トライアル運用の中で寄せられたフィードバックをもとに、画面の構成や表示内容を細かく調整。業務にフィットした実用的なサイトへと、少しずつブラッシュアップ

ノーコードで作る、生成AIで補う

MONO-X Oneを実際に操作してみると、シンプルな画面構成であればノーコードで作成できることがわかり、「これなら現場でも十分に対応できる」という手応えがありました。一方で、在庫数に応じたアイコン表示や、日付ごとに価格を切り替えるような処理は、やはりノーコードでは対応が難しく、SQLでの記述が必要になる場面も出てきました。

そうした場面で赤岩氏は、ノーコードで作成した画面の裏側にSQLソースが表示されていることに着目します。「このコードを生成AIに渡して、目的の処理を組み込んでもらえば、もしかしたらいけるのでは?」——そんな発想から、生成AIを活用したカスタマイズに挑戦することにしました。最初は実行するたびにエラーが発生し、調整の繰り返しが続いたといいます。それでも少しずつAI側がサーバー環境のクセを理解し始め、処理の精度が上がっていくにつれて、完成に近づいていく感触が得られました。

こうしてノーコードと生成AIを組み合わせることで、専門知識がなくても柔軟なカスタマイズが可能であることを実感し「現場でもここまでできるんだ」という確信が、手応えとして残ったそうです。

 

DXの成果と今後の展望

MONO-X Oneの導入により、協和自動車はリアルタイムに在庫数を照会できるWebサイトを構築しました。
このサイトは、パーツ部門が主体となって立ち上げたもので、システム部門の手を借りずに完成にこぎつけたという点でも、大きな意義を持っています。

導入後、現場では確かな変化が現れ始めました:

  • 1日に数十件あった在庫確認の電話やFAXのやり取りが大幅に減少。業務に余裕が生まれ、スタッフが本来の仕事に集中できるようになった

  • 顧客がエンドユーザーからの問い合わせにその場で回答できるようになり、商談の成約率が向上

  • 夜間や土日といった営業時間外でも、Webサイト経由で取引が可能になり、柔軟な対応が実現

  • そして、MONO-Xの迅速かつ的確なサポートに支えられ、短期間でシステムを構築できたことも大きな成果のひとつ

これらの効果は、単なる業務効率の向上にとどまらず、顧客満足度の向上や、新たなビジネスチャンスの創出といった、もっと先を見据えた成果へとつながっています。

現場でもここまでできる」という手応えは、今回の取り組みを通じて社内に着実に根づき始めています。今後は、取引先ごとに異なる販売価格の表示や、受注・請求処理までを視野に入れた販売系サイトの構築にも取り組んでいく予定です。

MONO-X Oneの柔軟性と拡張性を活かしながら、“現場発のDX”をもっと当たり前のものにしていく——そんな前向きな挑戦が、これからも協和自動車の中で続いていきます。

 


—— FAXや電話でのやり取りに課題を感じている方にとって、協和自動車株式会社様の取り組みには多くのヒントが詰まっています。まずはデジタル化の第一歩として、MONO-X Oneの導入を検討してみてはいかがでしょうか?

 

導入企業紹介:協和自動車株式会社

1946年に中央区東日本橋にて自動車整備業を開始。その後、自動車部品販売部門の設立や江東区大島に民間車検場の開設等業務を拡大し、現在は国産車、輸入車、EV車などの各種車輌整備業の他、車輌販売、オートリース、レンタカー、保険業務、及び自動車部品小売り、卸売り業とカーライフ全般のトータルサポートを行っている。

協和ロゴ透明(aiより)